「威力がなかった」Aさんの靴/秘密保護法抗議の靴投げ裁判(アンテナ6月27日号)

アンテナ6月27日号

「威力がなかった」Aさんの靴/秘密保護法抗議の靴投げ裁判

昨年12月6日夜、特定秘密保護法の強行採決に抗議して参議院本会議場に靴を投げ入れ、逮捕・起訴された男性Aさんの第2回公判が6月19日午後、東京地裁(安東章裁判長)で開かれた。

審理は初公判と同じく「429号警備法廷」で行なわれた。今回も傍聴者をテロリスト扱いする人権侵害のボディチェック、持ち物強制預かりが強行されたうえ、開廷前の廊下で過剰警備に抗議した支援者が構外退去させられた。
この日は、検察が証人申請した4人(強行採決当日の参議院衛視3人と参議院事務総長)の証人調べが行われた。検察は、「被告人は議事を妨害しようと企て、議場に靴を投げ入れて議場を一時混乱に陥れた」として威力業務妨害罪を主張し、それに沿って各証人から「靴投げによって、議場が混乱した」との証言を引き出そうとした。
Aさんは、靴を投げたことは認めており、それが「威力」となって参院の「業務」を「妨害」したかどうかが審理の争点になる。
この日の証人尋問の結果、検察の意図とは裏腹に、参院議場は「靴投げ」の前から与党議員の野次などで騒然としていたこと、「靴投げ」自体によっては審議が中断するなどの影響はなかったことが、複数の証言で明らかになった。
検察は、「2投目の靴」が与党議員の頭に当たったとして、衛視の一人にそう証言させた。しかし、その衛視は、議事進行をめぐる与野党理事の協議がそのまま続いた、とも証言した。要するに「靴」は「威力」でなく、審議という「業務」を「妨害」もしなかった。
検察側の証拠調べはこれで終了、次回公判(8月29日午後1時30分)では、弁護側が申請した田島泰彦・上智大教授、清水雅彦・日体大教授の証人調べが行われる。次回審理について、Aさんと弁護団は「429号法廷ではなく傍聴希望者全員が入れる大法廷で」と求めたが、安東裁判長は却下した。(ジャーナリスト、山口正紀)

広告